ハンドボールのシュートは「回転」で決まる! ゴールキーパーを欺く3つの魔球

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ハンドボールのシュートは、ただ力任せに打ち込むだけではありません。一流の選手たちは、ボールに様々な「回転」を加えることで、その軌道や変化を自在に操り、ゴールキーパー(GK)を翻弄します。特に、ハンドボールの醍醐味であるサイドシュートなど、角度が限定される場面では、この回転が勝負を分ける重要な要素となります。

今回は、ハンドボールのシュートに用いられる主な3つの回転バリエーションと、それがシュートの質にどう影響するかを詳しく解説します。


1. 順回転(トップスピン)シュート:予測を裏切る急降下


順回転シュートは、ボールに前向きの縦回転をかけるシュートです。野球のカーブや、テニスのトップスピンに似たイメージを持っていただけると分かりやすいでしょう。

どのようなシュート?

シュートを放つ際、ボールの上部をこするように、あるいは突き放すような感覚でリリースすることで、ボールに前向きの縦回転を与えます。指先でボールの「上」を押し出すようなイメージです。

シュートの特徴

この回転がかかったボールは、空気抵抗の影響を受けやすく、一見すると直線的な軌道を描きながらも、ゴールに近づくにつれて**急激に落ちる(沈む)**ような弾道を描きます。GKはボールの飛んでくる高さやコースを予測しますが、順回転によって「思ったよりも手前で沈む」ため、セーブのタイミングを狂わされることがあります。また、バウンドシュートの場合、着地後に予測できないほど低く跳ねることもあり、これもGKにとって脅威となります。

どんな時に使う?

主にサイドシュートや、GKがボールの軌道を読み切ろうと前に出てくる場面で有効です。GKの腕の上を狙いつつ、ネットに突き刺すような、あるいはクロスバーぎりぎりのコースを狙う際に威力を発揮します。


2. 逆回転(バックスピン)シュート:予想外の跳ね上がり


逆回転シュートは、順回転とは逆に、ボールに後ろ向きの縦回転をかけるシュートです。野球のバックスピンがかかったストレートや、テニスのスライスに似ています。

どのようなシュート?

ボールの下部をこするように、あるいはすくい上げるような感覚でリリースすることで、後ろ向きの縦回転を与えます。指先でボールの「下」を引っ掻くようなイメージです。

シュートの特徴

この回転がかかったボールは、比較的浮き上がるような軌道を描き、ゴールに近づくにつれて少し「伸びる」ような弾道になることがあります。特にバウンドシュートの場合、地面に着地した後に非常に高く跳ね上がることが多く、GKが予想した位置よりもはるか上方にボールが跳ね上がることで、セーブしようとした手が届かない、あるいは体勢を崩されるといった状況が生まれます。

どんな時に使う?

バウンドシュートでGKの頭上を狙う際や、ディフェンスブロックの上を越すような、やや浮かせたいシュートで使われることがあります。GKの足元を狙うと見せかけて、急激に跳ね上げて上を抜くといったトリッキーな使い方も可能です。


3. 横回転(サイドスピン)シュート:空間を切り裂くカーブ


横回転シュートは、ボールに左右どちらかの横向きの回転をかけるシュートです。野球の変化球でいうところのスライダーやシュート(ツーシーム)、サッカーのカーブシュートに近い感覚です。

どのようなシュート?

ボールの左右どちらかの側面をこするようにリリースし、手首を内側や外側にひねることで回転を調整します。利き腕によってボールの曲がる方向が変わります。例えば、右利き選手がボールの右側面をこすれば、ボールは左へ、左側面をこすれば右へカーブします。

シュートの特徴

横回転がかかったボールは、空気抵抗によって進行方向とは異なる横方向へカーブしたり、不規則な変化をしたりします。これにより、GKはボールが向かってくるコースを正確に予測することが非常に困難になります。シュートがゴールポストぎりぎりに向かっているように見えても、そこからさらに曲がってGKの手を避ける、といった現象が起こります。

どんな時に使う?

横回転シュートは、特にサイドシュートや、ゴールキーパーとの1対1でシュートコースが限定されている場合に、非常に有効な武器となります。ポストとGKの間の狭いスペースや、GKの体の側面を抜く際に、意表を突く変化球として使われます。相手ディフェンスやGKがコースを完全に塞いでいると思いきや、ボールが「もう一伸び」してゴールに入る、というような魔法のようなシュートが可能です。


回転を操るための鍵:指先と手首の繊細なコントロール

これら3つの回転バリエーションは、いずれも基本的なボールの持ち方、つまり指先と手首を使ったボールコントロール能力が高い選手ほど、効果的に使いこなすことができます。ただ力任せにボールを投げるだけでは、このような繊細な変化を生み出すことはできません。ボールと指先の対話を深め、リリースする瞬間の指先や手首の角度、強さを微調整する練習を重ねることで、GKを欺く「魔球」を自在に操れるようになるでしょう。

ハンドボール観戦の際には、ぜひシュートの際にボールの回転にも注目してみてください。きっと新たな発見があるはずです。

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