ハンドボールのサイドシュートは、角度が限られた難しい位置からゴールを狙う、まさに技術とセンスが光るプレーです。その中でも、シュートの決定力を大きく左右する「あるポイント」があることをご存じでしょうか? それが、肘の高さです。
今回は、なぜサイドシュートで肘の高さが重要なのか、その理由と効果的な練習方法について深掘りしていきましょう。
なぜ「肘の高さ」がサイドシュートを左右するのか?
サイドシュートは、他のポジションからのシュートと異なり、ゴールに対して斜め、あるいは真横に近い位置から打ちます。この厳しい角度でGK(ゴールキーパー)を打ち破るには、シュートの多様性と威力、そしてGKを欺くフェイントが不可欠です。肘の高さは、これらの要素全てに深く関わってきます。
1. コースの多様性が格段に広がる!
シュートを打つ際、肘が高い位置にあると、ボールのリリースポイント(ボールを離す位置)に大きな自由度が生まれます。
- 高く打てる、低くも打てる: 肘が高い位置にあれば、上から叩きつけるように下へ、あるいは浮き球で上を狙うなど、縦方向の打ち分けが容易になります。
- 「しゃくり」シュートも狙いやすい: GKの意表を突くバウンドシュート、通称「しゃくり」も、肘が高い位置からボールに回転をかけることで、より効果的に打つことができます。
一方で、肘が低いと打てるコースが限定され、GKに狙いを読まれやすくなってしまいます。
2. シュートに威力が乗り、安定感が増す
肘を高く保つことは、シュートの威力にも直結します。
- 体全体でボールを押し出す: 肘が高い位置にあれば、肩や体幹といった上半身全体の力を効率的にボールに伝えることができます。これにより、力強いシュートが打てるようになり、GKに反応する隙を与えにくくなります。
- ブレない安定性: 高い位置からスムーズに腕を振り下ろすことで、シュートフォームが安定し、ボールが狙ったコースからブレにくくなります。
肘が低いと腕の可動域が制限され、力を十分に伝えきれず、シュートの威力が落ちるだけでなく、安定性も損なわれがちです。
3. GKを欺く「フェイント」の精度が上がる
サイドシュートの成否は、GKとの駆け引きに大きく左右されます。肘の高さは、このフェイントの有効性にも関わります。
- コースを読ませない: 肘が高い位置にあると、シュートを打つ直前まで、GKは「どのコースにボールが来るのか?」を判断しにくくなります。上にも下にも打てる選択肢があるため、GKは重心を定められず、反応が遅れます。これが、効果的なフェイントとなってGKの動きを鈍らせるのです。
肘が低いと、GKは打てるコースを予測しやすくなり、動き出しが早まってシュートを止められる可能性が高まります。
肘の高さを意識した練習方法
では、どのようにすればシュート時に肘を高く保てるようになるのでしょうか? いくつか効果的な練習方法をご紹介します。
1. 座ってのシュート練習
下半身を使わない状態でシュート練習を行うことで、上半身、特に肩と肘の使い方に意識を集中できます。この練習では、肘を肩より高い位置に保つこと、そして手首のスナップを効かせることを徹底的に意識しましょう。壁打ちなどで、自分のフォームを繰り返し確認するのがおすすめです。
2. 壁打ちと動画撮影でのフォームチェック
壁に向かってシュートを打ちながら、自分のフォームをスマートフォンなどで動画撮影してみましょう。客観的に自分のフォームを見ることで、肘が下がっていないか、理想的な位置でリリースできているかなどを確認できます。良いフォームの選手と比較するのも有効です。
3. 肩周りの筋力トレーニング
シュート時に肘を高い位置で安定させるには、肩周りの筋力も重要です。ローテーターカフ(回旋筋腱板)や三角筋などを鍛えるトレーニングを取り入れると良いでしょう。また、体幹が安定していると空中での姿勢がブレにくくなるため、体幹トレーニングも効果的です。
4. 常に「肘を上げる」意識を持つ
これは最もシンプルですが、最も重要なことです。日々の練習中、そして試合中も、常に「肘を上げる」という意識を持つようにしましょう。コーチやチームメイトに、自分のシュートフォームをチェックしてもらうのも良い方法です。
まとめ
ハンドボールのサイドシュートにおける肘の高さは、シュートのコースの多様性、威力、そしてGKに対するフェイントの有効性を劇的に高めるための非常に重要なポイントです。
もし、サイドシュートの決定力で悩んでいるなら、ぜひ今日から「肘の高さ」を意識して練習に取り組んでみてください。きっと、あなたのシュートは次のレベルへと進化するはずです!
あなたのシュートが、チームの勝利に貢献することを願っています!
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