ハンドボールは、試合の60分間という長時間にわたり、全力疾走、ジャンプ、急な方向転換、接触プレーを繰り返す非常に運動強度の高いスポーツです。そのため、単に走り続ける「持久力」だけでなく、短いダッシュを繰り返せる「筋持久力」と、瞬発的な動きを可能にする「無酸素性能力」の両方をバランス良く鍛えることが重要です。今回はボールを使わない体力トレーニングと、ボールを使った体力トレーニングを紹介します。
ボールを使わない体力トレーニング
1,試合の動きに特化した体力トレーニング
ハンドボールの体力トレーニングは、試合での動きを想定したものが最も効果的です。一般的な長距離走だけでなく、短距離のダッシュを繰り返す「インターバルトレーニング」を積極的に取り入れましょう。
インターバルトレーニングの例
インターバルトレーニングは、高強度の運動と短い休憩を繰り返すことで、心肺機能と乳酸を分解する能力を同時に向上させることができます。
- ハンドボールコートを使ったインターバルダッシュ
- 方法: ハンドボールコートのサイドライン(40m)を全力でダッシュし、エンドライン(20m)をジョギングで戻る、を1セットとします。これを5~8セット繰り返します。
- ポイント: 休憩時間は次のダッシュに備えられる程度の短さに設定します。心拍数や呼吸が完全に元に戻る前に次の運動を始めることが、インターバルトレーニングの効果を高める秘訣です。
- アレンジ: ダッシュの距離やジョギングの距離を変えることで、様々な負荷をかけることができます。例えば、20mダッシュと10mジョグを繰り返すなど、より細かい動きを意識したトレーニングも有効です。
2,全身の筋持久力向上トレーニング
ハンドボールは全身の筋肉を使うため、特定の部位だけでなく、全身の筋持久力を高めるトレーニングも不可欠です。
サーキットトレーニング
筋力、持久力、敏捷性を一度に鍛えられる効果的な方法です。複数のトレーニング種目を休憩を挟まずに連続して行い、1セット終了後に短い休憩を取ります。
- サーキットトレーニングの例
- スクワット: 10~15回
- ランジ: 左右各10回
- 腕立て伏せ: 10~15回
- プランク: 30秒キープ
- バーピー: 10回
- 20mダッシュ: 1本
- 方法: これらの種目を順番に行い、1周終わったら2~3分休憩し、これを3~5セット繰り返します。
- ポイント: トレーニング中はフォームを崩さないように意識し、正しい姿勢で行うことが重要です。
ボールを使った体力トレーニング
1. ドリブル・ダッシュ
このトレーニングは、ダッシュ力とドリブルの技術を同時に鍛えます。
方法
- コートのサイドラインに立ち、ボールを床につけずに片手で持ちます。
- 笛の合図で、コートの端から端まで全力でダッシュします。
- ダッシュ中は、ボールを落とさないよう、片手でしっかりと持ち続けます。
- 走り終わったら、ジョギングで元の位置に戻り、次のセットに備えます。
ポイント
- ダッシュ中は、できるだけ速く走ることに集中しましょう。
- ボールを掴む手は、利き手だけでなく、逆の手も交互に使うことで、両方の手に慣れることができます。
- 慣れてきたら、ドリブルをしながらダッシュする、というように難易度を上げていきましょう。
2. インターバルシュート
シュート練習と体力トレーニングを組み合わせたメニューです。
方法
- 相手ゴール前のフリースローライン(9mライン)付近に立ちます。
- 笛の合図で、全力でゴールに向かって走り、ジャンプシュートを打ちます。
- シュートを打った後、ボールを拾い、シュート位置までジョギングで戻ります。
- この一連の流れを1セットとし、20~30秒の休憩を挟みながら、5セットほど繰り返します。
ポイント
- シュートは、ただ打つだけでなく、相手キーパーをかわすことを意識してコースを狙うなど、実践的な動きを取り入れましょう。
- 慣れてきたら、シュートを打つ直前にフェイントを入れるなど、より複雑な動きを組み合わせると効果的です。
3. パス・アンド・ラン
これは複数人で行うトレーニングですが、体力とパスの精度を同時に高められます。
方法
- 2~3人1組になり、パスをしながらコートを走り抜けます。
- 走りながらパスをキャッチし、次の走者にパスを回し、常に動き続けるようにします。
- コートの端まで行ったら、パスの方向を変え、逆の方向へ走りながらパスを続けます。
ポイント
- パスは、走っている相手に合わせるため、速さや方向を調整する必要があります。
- 仲間と声をかけあい、動きやパスのタイミングを合わせることが重要です。
ハンドボール:素早いパスとキャッチの極意 – The Handball Court
これらのトレーニングは、単調になりがちな体力づくりを、より楽しく、そして実践的に行うことができます。ぜひ試してみてください。
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